

慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)は慶應義塾の一貫教育校の一つで、1990年に創立されました。ニューヨーク州より認可されたアメリカの高等学校として、ニューヨーク州の私立学校連盟(NYSAIS)にも加盟しております。また、日本国文部科学省より、「高等学校の課程を有する在外教育施設」として指定されています。バブル以降、後期中等教育を行う日本人学校の多くが撤退してしまった現在、ニューヨーク学院の存在意義は大きいと思います。
授業の約7割は英語で行われています。言い換えると、完全な形ではありませんが、英語によるイマージョン(Immersion)教育ということになります。イマージョン教育とは、通常の教科の授業を第2言語で教えることにより、学習者に自然に第2言語を習得させる教育プログラムで、1965年、カナダのケベック州で英語が母国語の子供たちにフランス語を教える手段として導入されたのが始まりです。
一般的に言われていることは、第2言語の学習が他教科の効果的な習得にも役立つということと、第2言語を通して学んだ教科の知識は第1言語でその教科に対処する場合にも応用できるということです。日本から入学した生徒たち、海外の日本人学校で教育を受けてきた生徒たちを、このイマージョンプログラムにいかにスムーズに移行させるかが課題だと考えております。
生徒たちはアメリカで生活しているわけですから、フロンティア・スピリットを自然に体得していくでしょう。それは万延元年(1860年)、咸臨丸に乗ってアメリカへ渡った慶應義塾の創立者、福澤諭吉先生の進取の気象に通じるものです。同時に、民主主義の原点にも触れることができます。特にフェア(公平)であること、そしてエクセレンス(卓越)を認めることを学んでほしいと思います。
日本の初等教育では、「全員一等賞」に象徴される極端な平等主義があるように思えます。しかし、人の優れている点を認めることは、自分の優れた点を探すことに通じると信じます。福澤先生の時代は先進国の優れたものを取り入れることが目標でした。現在の日本は、世界に日本の良さを発信すべき時期に来ています。生徒たちに発信能力を基盤にした国際性を身につけ、世界に寄与する人物になってもらいたいと思います。
慶應ニューヨーク学院
学院長 迫村 純男