ようこそ慶應義塾ニューヨーク学院へ!

巽 孝之
慶應義塾ニューヨーク学院長
慶應義塾大学名誉教授

 

 久々にニューヨークへ帰ることになり、うれしい限りです。というのは、私は 1980年代には、ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学大学院で、最新の大陸哲学を吸収しながらアメリカ・ロマン派文学をめぐる博士号請求論文の執筆に余念がなかったからです。

 帰国後の 1989年に、慶應義塾大学文学部英米文学専攻で教鞭を執ることになった私は、 アメリカ文学と批評理論を担当し、 1990年以来、 400本もの卒業論文と 40本を超える修士論文、 20本を超える博士論文を指導してきました。 2017年には、環太平洋的文化研究を促進する拠点とするべく、慶應義塾アメリカ学会を立ち上げました。アメリカ留学で学んだものは間違いなく、以後の私の研究と教育に生かされてきました。

 ふりかえってみれば、慶應義塾のみならず近代日本の父とも呼ばれる福澤諭吉先生は、文字通り日米を横断する知識人でした。彼は1860年と 1867年の二度にわたって訪米していますが、その折にノア・ウェブスターゆかりの英語辞典を購入したことにより、トマス・ジェファソン起草になる「独立宣言」(1776)の本邦初訳を成し遂げます。さらに福澤はハーバード大学ゆかりの学者たちを少なからず日本へ招聘しますが、その中にはアーサー・メイ・ナップ師のみならず、黒船で日本を開国させたマシュー・ペリー提督の甥の子に当たる英米文学者トマス・サージェント・ペリー教授も含まれていました。このようにして、福澤は実に巧みにアメリカ的民主主義を日本文化に根付かせたのです。

 ニューヨーク学院では、慶應義塾が長年培った日米文化を横断する伝統を、学生諸君とともに、ますます活性化していきたいと思っています。

Headmaster's Voice

Wisdom of Fukuzawa

Yukichi Fukuzawa (1835-1901) was Founder of Keio University.