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ヒトIPS細胞 (しんぶんし)
Posted 11/10/2017 02:19PM

「必ず患者に貢献する」という気持ちを胸に

 京大山中教授と産経ニュース科学部の伊藤壽一郎氏との対談記事

  京都大学名誉教授である山中伸弥教授がIPS細胞を発見してから、はや十年が経つ。私が中学一年生のときに、山中教授が、IPS細胞の発見で、ノーベル化学賞を受賞したのを、ニュース番組で見て初めて知ったのである。IPS細胞については、なんの知識もなかったが、私の母方の祖父を死に追いやったALSや、父方の祖父が闘病中であるパーキンソン病の治療に、応用できるかもしれない、と思ったことを記憶している。

 この記事では、産経ニュースの科学部の伊藤記者と、京都大学名誉教授である山中伸弥教授の対談をもとに書かれている。その内容はこうである。IPS細胞の発見から十年経った今でも、研究の進行具合は、山中教授いわく、マラソンでたとえるとまだ10km地点にあるという。その背景には多くの壁が立ちはだかっている。最初の大きな課題はIPS細胞をいつでも使えるようにするための「ストック」の作成であった。研究者というのは、常に新しいことに挑戦したいと思っているが、細胞の生産においては品質維持が課題となるため、予想以上に大変だったらしい。また、大量の「ストック」を作成するに当たって、時間、コスト、そして安全性のバランスというのも、課題になってくる。安全性の高いIPS細胞を作成するためには多くの費用がかかり、そうすると医療に使われなくなってしまう。しかし、逆に費用を減らそうとし、一系統だけのIPS細胞を作るとなると、必然的に拒絶反応を起こす日本人の割合も増えるだろう。この時間、コスト、安全性のバランスを保つためには、国が新しい制度を導入する必要がある、と山中教授はいう。

 ようやく日本では臨床研究や治験が、慶應大学や大阪大学、理化学研究所などを筆頭に、始まってきた。日本は細胞の再生医療において、世界をリードしているといえるだろう。また、IPS細胞を利用した創薬の研究や、病気の原因解明など、IPS細胞の使い道は、さまざまである。そして、そのためには、いまある課題を解決していかなければいけないのである。京都大学教授の山中教授は、細胞提供してくれる患者たちを助けようという気持ちを胸に、日々、研究に励んでいる。

 このように、IPS細胞というのは、非常にたくさんの可能性を秘めているのにもかかわらず、発見から十年が経った今でも、まだ臨床実験や治験に活かしきれていないのは、もったいなく感じる。これからの研究を推進するためにも、国が、コストと安全性のバランスのとれた制度を作る必要があるようにも感じる。私は、患者の気持ちを背負って、日々研究に励む山中教授を尊敬し、近い将来、今まで有効な治療法が見つかっていなかったALSやアルツハイマー病が、治療可能になることを願っている。また、細胞提供してくれる患者一人一人を絶対に救いたい、という山中教授の思いに、私は非常に感銘を受けた。これからも、その思いを忘れずに、研究に励んでいただきたい。

山口 泰知

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