News and Events

私の舞姫論「相沢が言った言葉の真実」
Posted 01/15/2018 12:00PM

小泉玄碩

 相沢は豊太郎に、彼女とは関係を絶て、と言った。エリスがどんな人であり、豊太郎が彼女のことをどう思っているのか、またエリスの気持ちも考えずに、豊太郎にエリスと別れろ、と言った。相沢は、なぜそこまできっぱり豊太郎に別れろ、と言えたのだろうか。倫理的に考えて、豊太郎に女をゴミのように捨てさせる事に、胸は痛まなかったのだろうか。相沢にエリスと別れろと冷酷に言わせた要因は2つある、と考えられる。

 まずは、日本の社会的な風潮だ。豊太郎が生きていた時代は、まだ皆お国のためにと、自我を捨て日本を発展させるために働くことが普通であった。その頃の価値観で見ると、豊太郎は国のお金で留学させてもらっているのだから、日本に帰って国のために働くことが普通であり、エリスを妊娠させてしまったのだから、日本に帰らず、結婚して一生責任を取るということは、異常な考えであったのだ。エリスを捨てることが絶対的に正しい選択だったのだ。このような社会的風潮が、相沢に個人な感情を捨てさせ、国全体のことのみを考えるようして、エリスと別れろ、という言葉を言わせたのだ。

 2つ目は、「旅の恥はかき捨て」、という考えだ。その頃の時代では、もちろんインターネットなどなく、国際電話も貴重であった。そのため、海外で不祥事を起こしても、自国で広まるリスクが少ないのだ。この時代的背景が相沢に旅の恥はかき捨てという考えをもたせたのだ。そして普段ではしてはならない妊娠した女を捨てるということを、所詮海外での出来事であり、その場限りのことである、と相沢に考えさせた。この旅の恥はかき捨てという考えが、相沢に女と別れろ、という言葉を言わせたのだ。

 結果、これらの社会的な風潮や、「旅の恥はかき捨て」という考えに影響され、相沢は、エリスや豊太郎の感情を考えずに、豊太郎に女と別れろ、と言ったのだ。相沢の人格が冷酷な人間であったというより、その時代の風潮や考え方が、相沢にそう言わせたのだ。

 

 

 

 

Footer Logo Image

All images © 2013-2017 Keio Academy of New York

Address/Telephone

3 College Road
Purchase, NY 10577 USA
Phone: (914) 694-4825

Stay Connected

powered by finalsite