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18 田頭君と僕。
Posted 03/23/2018 07:42PM

   犬の鳴き声が聞こえる。暗い寮の部屋に鳴り響く大型犬が吠える音に、僕は目を覚ます。枕元を見ると、画面が明るくなった僕の携帯が、振動を繰り返しながらしきりに吠えまくっていた。朝6時。

 

    犬の鳴き声は僕のアラームのサウンドに設定してある音だ。意外と起きれる。停止ボタンを押し携帯を黙らせ、僕はルームメイトを起こさないように部屋を出る。用を足し、コンタクトをつけて僕はシャワーを浴びる。620分。

    暗い部屋へ戻りデスクランプをつけて、学校の準備を始める。ルーミーはまだ寝ている。制服を着て、歯磨きをしながら、必要なものをリュックに詰め込む。640分。

    リュックを背負い、朝ごはんを食べに寮の食堂へと向かう。明け方の風はひんやりとしていて、シャワー後の肌に気持ちいい。深呼吸をしながら、空を見上げる。校舎がある方から太陽が上がり、校舎の上だけ空が黄色やオレンジに暖かく染まっていた。食堂はいつもこの時間空いている。静かな食堂に入り、食べ物を取りながら田頭君と挨拶を交わす。田頭君はいつもこの時間に朝ごはんを食べにきている後輩で、よく挨拶をしてくれる。彼の全てを受け入れるようのな優しい微笑みが、僕は好きだった。そうして僕は1人で座り、朝ごはんを食べる。卵とベーコンに、ご飯と味噌汁。毎朝メニューが変わらない朝ごはんだが、文句はない。飲み物は決まってりんごジュースだ。これを飲むと目が覚める。20分で朝ごはんを食べ終わり、朝7時。

    ホームルームのベルが鳴る745分まで、僕は学校の3階にある図書室で勉強をする。

    二学期のGPAは、2.0。勉強しないと、冗談抜きで留年してしまいそうな成績だ。高校卒業が、もうすぐそこまで近づいて来ている。

    そういえば、僕の誕生日も近かった。勉強の手を止め僕は、ふと思う。今年で十九になるの。来年にはもう二十歳。一年後、二年後、十年後、僕は一体どこで何をしているんだろうか。

    考えているうちに、勉強をする気をまた失くす。こんな勉強が将来いつ役に立つというんだろうか。授業で先生が書いたことを板書してそれを暗記し、テストで吐き出す。テストの二日後には暗記した内容の半分も覚えていないだろう。ただただこれの繰り返し。こんな意味の無い教育に、僕は全くやる気を出せずにいた。

    将来のことを全く考えていないわけではない。興味のある学部もあるし、将来やってみたい事もある。 自分の行きたい学部に入るには成績をとらなければいけないことはわかっている。しかし、テストの二日後には忘れているような内容を、僕はどうしてもこの先将来で役に立つ知識とは思えない。

    学部だけが勉強に対しての唯一のモチベーション。このどうしようもない不自由から抜け出し、僕は早く自由になりたかった。

    そう考えているうちに、ホームルーム一回目のベルが鳴る。後々後悔しないよう、勉強を頑張る。そう思いながら僕はホームルームに向かう。ホームルームに向かう途中、僕はまた田頭君とすれ違い、彼は僕にまたあの優しい笑みを向け、挨拶してくれた。良い子だ。

    今日は月曜日。最初の授業は数学。ホームルームが終わると、僕は指定された一番後ろの一番奥の席に座る。先週は数学のテストがあった。授業はまずテスト返却から始まり、先生が僕のテストを裏返しで机の上に置く。そこそこ勉強したテストだったが、期待しすぎずも表紙を見てみる。19点。

    百点満点のテストで19点。僕の頭では20点も取れないのか。僕は絶望した。自分の頭の悪さに打ちひしがれた。

    が、あの全てを包み込むような田頭君の微笑みを思い出すと、こんな数字如きに一喜一憂している自分がバカバカしく思えてきて、僕は考えることをやめた。

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