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20 A Tale of 20 Village 20村物語
Posted 03/23/2018 07:50PM

 続いては今日のニュースです。番組「世界の村で発見! こんなところに日本人」の取材が世界中に大騒ぎを引き起こしています(2020220日放送)。

 

 「みなさんこんにちは! すず太郎です! 今日は、アメリカニューヨークの森の奥にある、噂の“20村”にやってまいりました。見てください、このきれいな景色! 僕は今幸せの絶頂です! では、このユニークな村の名前はなぜ付けられたのか、村にはどういう物語が隠されているのか、さっそく、村人をインタビューしに行きたいと思います!」

 テレビ番組の一行は村の景色をとりながら村の中を歩いた。とてもきれいな村だった。空は青く澄んで、あたり一面は緑に覆われていた。間もなく一行は、噴水のある池のそばに座って、はちみつクッキーを食べている村人を発見した。

 「みなさん~ついに村人発見です!」すず太郎はマイクをもって池に向かって走りながら、満面の笑顔でカメラに向かって叫んだ。

「君たちは何者だ?何をしにここにきた? 早く出ていけ!」警戒するように、その村人が言った。

 

 目の前にいる若い青年に急に怒鳴られ、すず太郎は少し戸惑った様子を見せたが、インタビューを続けた。

「お兄さんこんにちは、20村を取材するために、日本からやってきたテレビ番組『世界の村で発見!こんなところに日本人』のものですが、この村について詳しく教えていただけませんか?」

 「一体どこでこの村の情報を手に入れた? わかった、村長のところへ案内するよ。この村の話なら、村長が一番詳しいだろう。」

 

 一行はこの若い青年のあとについて、MATUSHITA HALLと大きく書かれてあったドーム型の建物の中へ入った。ここが村長の家のようだ。一行は村長に会い、あいさつをした。村長はすず太郎がイメージしていたように白髪で、しわだらけのおじいさんではなく、思ったよりもはるかに若く、スタイルもいいとてもおしゃれな人だった。

 「どうも20村の村長の松下20です。どうぞ座って。我々の村遥々と日本から訪問客が来るとは。今日はなんの用だい?」

 「今日は突然の取材すみません、この村について、いくつかの質問に答えていただいてもよろしいですか?」

 「いいでしょう。答えよう」

 「ご協力ありがとうございます! 日本から遥か遠いアメリカ大陸の都市離れしたこの地に、なぜわざわざ村を立てようと思ったのですか? 日本のほうが住みやすいと思ったことはないですか?」

 「わしらも最初は日本で暮らしていたよ。だけど時間が経っちゃうとどうしても人に気づかれてしまう。この場所も引っ越してから今年で25周年を迎えた。わしらは人目から隠れるため、世界中を旅している。アメリカ郊外にあるこの地はわしらにとって一番住みやすい環境さ」

 なぜ隠れて暮らさないといけないのか、気づかれてしまうとはどういうことなのか、村長のこの謎めいたアンサーに、すず太郎は思わず頭を傾げた。その他にも雑談を交じりながら、村人の暮らしや好きな料理などについてインタビューをし、いよいよ最後の質問となった。

 「最後に、この村の名前と村長ご自身の名前にはどちらも20という数字があるのですが、それには何か特別な意味が込められていますか?」

 「ははは、それについては長い物語があるのじゃ」村長は誰もが好奇心を抱くこの質問について語り始めた。

 

 村長の話によると、20とはこの村のラッキーナンバーである。今から2020年前、地球は急な寒期に入り、激しい寒さに襲われた。農作物はすべて枯れ、食べ物もなくなり、20村の一族は飢饉に苦しんだ。その時、村長は崖一面に広がるキラキラ光っている虹色の花を見つけた。その花のはちみつのおかげで一族は飢饉から救われ、寒期を乗り切ることができた。さらに驚くことに、はちみつを食べた村人は皆若返り、まるで20歳だったころのように元気にあふれていた。その若返りの秘密である不思議な花の種を村長はまだ持っているという。 

「しかし、時の流れははやいの~、縄文時代からあっという間に平成になった感じじゃ。ファッションも縄文時代では縄の柄が流行っていたのに今の流行には全然ついていけないの~。」

  村長の話を聞いたあと、テレビ番組の一行は皆目を大きく丸めて、おとぎ話でも聞いたように大変驚いた様子だった。すず太郎は、確かに今まで出会った村人はみんな驚くほど若く、その中に大人は一人もいなかったことを思い出した。

  村長の家の外はもう真っ暗になっていた。

  「今日はたくさんのお話誠にありがとうございました! 明日は、村人の生活を撮りにまた村をお邪魔します!」

 

 ところが、この取材はすぐさまニュースとして世界中で放送された。次の日、朝を迎えた20村には、その不老不死を実現させる花のはちみつを求めて、世界から人が殺到した。アメリカ政府は、この花のはちみつを独占し、それを利用したビジネスによって儲かろうとこの地を封鎖した。だがそれに対して日本政府は20村にあるその花のはちみつは日本のものだと主張した。それをめぐって争いが起き、さらにほかの国もそれを自国の利益にしようと戦争に参加した。その結果、20村は破壊され、核兵器の空気の汚染によって唯一残されていた花の種も溶けてしまった。20村の一族も姿を消し、二度と姿を現すことはなかった。

  もしこれからの時代で、人類が本当に永遠の命を得るための手段を見つけたら、この世界はどのようになっていくのだろうか。それを奪うため、20村物語の中みたいに戦争になるだろうか、あるいは無限の人口増加によって地球の資源が限界に到達し、地球滅亡の道へと導くのだろうか。そのように考えてみると、私たちにとって最大の敵とも思われる命の終わりは、私たちにとって時間と家族を大切にさせてくれる最高のギフトかもしれない。


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