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私の舞姫論「打ち砕けられた自我」
Posted 02/13/2019 02:13PM

舞姫は、エリーゼと森鴎外との美化しきった仮初めの恋愛話である。当時にしたら道徳性に欠けている恋である。当然ながら、非常に世間体も悪かった。そこで私は、鴎外がこんな体たらくなラブロマンスを、創作物として世に出した理由について考察してみた。

普通に考えてみれば、エリスとの関係が心惜しみになり、鴎外はこの恋愛を美しいものとして、記録に永遠に残したかったからである。だが、本文を通して読んでみると、豊太郎のエリスへの愛情より、相沢に向けた憎悪に近い感情が目に留まる。先ず、一段落目にて豊太郎は行き場のない恨みの情に苛まれている。読み手としては、その恨みの根源はどこからかが、気になってくるポイントでもある。文末にてようやく、鬱憤の元が相沢であることがわかる。怨で始まり、怨で終わる。舞姫と題を付け、麗しい踊り子との恋物語のように見せかけているが豊太郎は、エリスとの間柄を壊した相沢と、ふざけた因習を憎み、世間に非道さを訴えているのだ。短い間ではあったが、豊太郎は初めて手にした自由の美を、他人によって破壊されいくことが耐えられなかったのだ。

本文にて、豊太郎は「辞書たらむはなほ堪ふべけれど、法律たらむは忍ぶべからず」と述べている。彼はこれまでは、非人間的で機械的な生き方をしてきたものの、ドイツの風習にうたれ、次第に自由を求めるようになっていった。当時、上司の命令は絶対であったにも関わらず、豊太郎は大臣の言い成りになることを拒否し、逆った。ここで、彼は自我の目覚めと共に、誰かに強制された恋ではなく、自分の意思でエリスに恋をした。エリスとの恋愛は、自我の覚醒の示しとも捉えられる。反抗的な態度、悪い噂に加え、エリスとの交際が発覚し、豊太郎は免官された。その後に、二通の手紙が日本から届いた。一通は母からの自筆の手紙で、もう一通は母の諌死を報告する手紙であった。母にとって豊太郎は国の未来を背負った自慢の息子であり、太田家の名を上げてくれることを期待していた。その豊太郎が、まさか女に目が眩み、仕事を怠るという醜態を晒し、免官になったことは、恥ずべき事態であったであろう。エリスとの関係が、豊太郎を免官にさせ、豊太郎の母を死に追い込んだ。エリスとの交際はそれほど許されないものであった。それでも、豊太郎はエリスを捨てることは出来なっかた。エリスを諦めることは、自我の確立を諦めることでもあった。だが、エリスの妊娠は、豊太郎にとって大きな重荷になった。こんな状態の中で相沢と再会した。相沢は女と別れるよう強く言った。豊太郎は頷いてしまい、エリスと別れることを約束した。その報告を受けた天方伯爵は、豊太郎を信頼し、日本に帰るように告げた。ここで豊太郎は出世

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